この処方、一包化加算とれる?~1剤扱いできるかどうかで考える方法
回答:一包化の算定要件
一包化加算の算定要件は、以下の2つです1)。 a. 服用時点が異なる2種類以上の内服用固形剤が処方されているとき
b. 1剤(服用時点が同じ)であっても、3種類以上の内服用固形剤が処方されているとき
1) 保険薬局業務指針2014
言い替えると、
a. 服用時点が異なる(1剤扱いできない)状態で、2種類以上の薬を飲むタイミングがあるとき
b. 服用時点が同じ(1剤扱いできる)状態で、その1剤の中で3種類以上の薬を飲むとき
になります。
更に実務的な表現にすると、
1.同じタイミングで3種類以上の薬を飲む場合には、算定要件のaかbのどちらかを必ず満たす。
2.同じタイミングで飲む薬が2種類の場合、その2種類の薬が1剤扱いできない状態であれば、算定要件aを満たす。
ということになります。
実務的な表現で考える方法と、算定要件に注目して考える方法の2つのパターンで解説します。
1.実務的な表現で考える
上記の3例は、一包化加算を算定できる例です。
①は、「朝」に2種類の薬を飲みます。その2種類の薬AとBは、1剤扱いできない状態です。そのため、算定要件を満たします。
②は、「朝」に3種類の薬を飲みます。3種類以上の薬を飲むタイミングがあるときは、それで算定要件を満たします。
③は、「朝」に3種類の薬を飲みます。また、「夜」に2種類の薬を飲みます。その2種類の薬CとDは、1剤扱いできない状態です。朝と夕のどちらの条件でも算定要件を満たします。
④は、同じタイミングで飲む薬がありません。そのため、算定要件を満たしません。
⑤は、「朝」に2種類の薬を飲みます。その2種類の薬AとBは1剤扱いできる状態のため、算定要件を満たしません。
また、「夕」にも2種類の薬を飲みます。その2種類の薬CとDも1剤扱いできる状態のため、算定要件を満たしません。
つまり注意すべきは、2種類の薬を飲むタイミングがあっても、その2種類の薬が1剤として扱える場合には、算定要件できない、ということです。
2.算定要件aとbで考える
上記の3例は、一包化加算を算定できる例です。
①は、「朝夕」と「朝」という2つの異なる服用時点の処方です。そのため、1剤扱いできない状態です。そして、「朝」には2種類の薬を飲むことになります。これは算定要件aに該当します。
②は、全て「朝」という服用時点が同じなので1剤扱いできる状態です。そして、その1剤として扱う「朝」には3種類の薬を飲むことになります。これは算定要件bに該当します。
③は、「朝」の薬が2つ、「夕」の薬が1つ、「朝夕」の薬が1つです。
C、Dに着目すれば、「朝夕」と「夕」という2つの異なる服用時点の薬があり、1剤扱いできない状態です。そして、「夕」に2種類の薬を飲みます。これは算定要件aに該当します。
また、A、B、Dに着目すれば、「朝」という服用時点が共通しているので1剤扱いできる状態です。そして、その1剤として扱う「朝」には3種類の薬を飲みます。これは算定要件bに該当します。
このとき、A~Dのそれぞれの薬の処方日数によって、aとbどちらの算定要件で加算を算定するかが決まります。
上記の2例は、一包化加算を算定できない例です。
④は、「朝」と「夕」という2つの異なる服用時点の処方です。そのため、1剤扱いできない状態です。しかし、2種類以上の薬を飲むタイミングがないため、算定要件aを満たしません。
⑤は、「朝」に2種類、「夕」に2種類の薬を服用します。
AとBは共に「朝」に服用する薬なので1剤扱いできる状態です。同様に、CとDも1剤扱いできる状態です。しかし、その1剤の中で3種類以上の薬を飲まないため、算定要件bを満たしません。
確かに、「朝」と「夕」で2種類以上の薬を飲むタイミングがありますが、その2種類であるAとB、CとDはそれぞれ1剤扱いできる状態のため、算定要件aを満たすわけでもありません。
+αの情報:一包化できない薬剤に注意
薬の中には、湿気などの関係から一包化ができない薬もあることに注意が必要です。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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