健康のためには、どのくらい日光に当たれば良いの?~ビタミンDを作るために
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回答:1日15分でも良い
強い日差しは日焼けの原因にもなりますが、日光を避け過ぎても様々な病気の原因になります。
特に、ヒトは日光に当たることで「ビタミンD」を作るため、あまりに日光に当たらないと「ビタミンD」が不足し、骨粗鬆症のリスクになります。
また、最近は不眠症やうつ病などの精神疾患にも、日光が関係していることがわかってきています。
日焼けを防ぐことも重要ですが、毎日15~30分ほどは日光を浴びることをお勧めします。
回答の根拠①:日光浴の基準は色々あるが、15~30分くらいが一つの目安
平均的な食事をしていれば、両手の”手の甲”が15分ほど陽の光に当たる程度、日陰であっても30分ほどで、日光によって1日に必要な量のビタミンD(1日5.5μg)を得られます1)。
1) 環境省 紫外線環境マニュアル2008
他にも様々な団体が日光浴の目安を提唱していますが、おおまかに15~30分程度がひとつの目安になっています。
◆世界保健機関(WHO)
顔を両手・両腕を、1週間に2~3回程度、5~15分。
◆骨粗鬆症財団
1日1回、木陰で夏は30分、冬は1時間。
◆宮崎県薬剤師会
顔と手を、1日1回、早朝か昼下がりに、15分程度。
天候・季節・時刻・地域によって日差しの強さは異なる
こうした日光浴の目安がバラバラなのは、日差しの強さは天候・季節・地域によっても大きく異なるため、一概に決めることができないからです。
※日光浴に必要な時間 2)
(顔と両手を日光に当てて、1日に必要なビタミンDを得ようとした場合)
晴れた12月の12時・・・那覇8分、つくば22分、札幌76分
晴れた7月の15時・・・那覇3分、つくば4分、札幌5分
晴れた7月の15時・・・那覇5分、つくば10分、札幌13分
2) 国立環境研究所
このように、厳密なことを考え始めると、天気・時刻・緯度のほか、日光にあたる皮膚の面積なども考える必要があります。
そのため、あまり難しく考えず1日15~30分程度、木陰であれば長めに、夏であれば短めに、くらいを目安に考えることをお勧めします。
回答の根拠②:日光の避け過ぎは、骨粗鬆症やうつ病、自己免疫疾患のリスクになる
日光に全く当たらないと、ビタミンDが不足して骨粗鬆症の原因になるほか、冬季うつ病や高血圧、自己免疫疾患などの発症リスクにつながることが指摘されています3)。
3) N Engl J Med.357(3):266-81,(2007) PMID:17634462
また、日光はヒトの体内時計を調整しているため、あまりに日光を避けた生活は不眠症のリスクになります。
こうしたリスクを避けるためにも、適度に日光を浴びる必要があります。
薬剤師としてのアドバイス:日焼け止めを賢く使おう
日焼けを防ぎながら適度に日光を浴びるためには、適切に日焼け止めを使う必要があります。
日焼け止めは「SPF」や「+」などの指標によって性能の違いがわかるようになっています。自分の生活習慣に合った日焼け止めを選ぶようにしてください。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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