「オーソライズド・ジェネリック」って普通のジェネリックと違うの?
回答:添加物や製法まで同じ
「オーソライズド・ジェネリック」は、有効成分だけでなく、薬の添加物や製造工程まで完全に同じ薬のことです。薬の有効成分の特許が切れた際、別のメーカーがその有効成分の薬を独自に製造・販売することができます。この薬のことを「ジェネリック医薬品」と言います。
通常、「ジェネリック医薬品」は先発医薬品と有効成分は同じですが、薬の添加物や製造工程が異なります。このことから、ジェネリック医薬品と先発医薬品は、厳密に言えば”同じ”ではありません。
そのためジェネリック医薬品は、先発品と「効果は同じ」と証明するために、「生物学的同等性試験」という試験を行い、先発品と同じように吸収されること等を確認する必要があります。
詳しい回答:ジェネリックへの抵抗の1つが”完全に同じではないこと”
ジェネリック医薬品が受け入れがたい理由の一つに、「先発品と完全に同じではない」ことが挙げられます。「効果は同じ」と証明されていますが、それはあくまで統計学的に同じという意味であって、万人にとって完全に同じ効果が保証されるものではありません。そのため、「効果は同じ」はずのジェネリック医薬品に変更したところ、効果が実感できなくなってしまったという例は多々あります。
「オーソライズド・ジェネリック」は、先発医薬品のメーカーがライセンス契約を結んだ後発品メーカーが、全く同じ添加物と製造工程で薬を作ります。そのため、理論上は効果に誤差も現れず、全く同じ効果が保証できると考えられます。
+αの情報:有効成分さえ同じであれば・・・という落とし穴
化学物質が同じであっても、結晶の形が異なれば性質も大きく異なります。同じ炭素でも、炭になったりダイヤモンドになったりするのと同じです。 『プラビックス(一般名:クロピドグレル)』という薬は、有効成分「クロピドグレル」という化学物質の他に、その結晶の形(結晶多形)にまで特許があります。
そのため、『プラビックス』のジェネリック医薬品を作ろうとする際には、有効成分の特許が切れていても、結晶の形を整える製造方法の特許が切れていない、という事態が起こります。
この結果、先発品とジェネリック医薬品とで有効成分そのものの性質に差が生じてしまう恐れがあります。実際、先発品の「クロピドグレル」の融点は177℃であるのに対し、ジェネリック医薬品の中には融点が198℃であるものがあります。
「水」の融点は0℃で変わりません。融点が違うということは「物質として性質に差がある」ということになります。これで「効果が同じ」と言えるのかどうか、やや疑問が残ると言わざるを得ません。
現在(2015.10.8)販売されている、オーソライズド・ジェネリックの一覧
◆『アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)』→フェキソフェナジン「SANIK」
◆『プラビックス(一般名:クロピドグレル)』
→クロピドグレル「SANIK」
◆『ブロプレス(一般名:カンデサルタン)』
→カンデサルタン「あすか」
◆『ディオバン(一般名:バルサルタン)』
→バルサルタン「サンド」
◆『クラビット(一般名:レボフロキサシン)』
→レボフロキサシン「DSEP」
◆『エックスフォージ(一般名:アムロジピン + バルサルタン)』
→アムバロ配合錠「サンド」
◆『ユニシア(一般名:アムロジピン + カンデサルタン)』
→カムシア配合錠「あすか」
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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