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抗真菌薬 薬の誤解

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水虫に「ステロイド」は使わない?~原則と応用

回答:逆効果なので使わないのが基本、炎症が酷い場合には例外で使うこともある

 水虫に「ステロイド」は逆効果です。水虫の菌が元気になり、ますます治りにくくなります。

 ただし、炎症が酷くて「抗真菌薬」を使える状況ではない場合には、治療に先駆けて「ステロイド」を使うこともあります。
水虫とステロイド~炎症が酷い場合
 「抗真菌薬」を使うと傷に沁みて痛みや痒みが悪化する場合は、まずはこうした対症療法が必要である可能性があります。無理に薬を使い続けず、一度皮膚科を受診することをお勧めします。

回答の根拠①:逆効果の理由~「水虫」への「ステロイド」の作用

 「水虫」は、白癬菌が皮膚に感染して起こる感染症です。
 「ステロイド」は、炎症(過剰な免疫反応)を抑える薬です。

 「ステロイド」を水虫などの感染症に使うと、菌を退治する免疫反応が弱まるため、逆効果です。
水虫とステロイド~逆効果

 特に、水虫に「ステロイド」外用剤を使い続けると、局所的な免疫不全によって白癬菌が皮膚の奥まで感染する「深在性白癬」になってしまうことがあります1)。

 1) 日皮会誌.119(5):851-62 「皮膚真菌症診断・治療ガイドライン (2009)」

回答の根拠②:「抗真菌薬」が刺激にならないよう、まず炎症を治す場合もある

 水虫の原因である「白癬菌」を退治するためには、「抗真菌薬」を使う必要があります。
 しかし、「抗真菌薬」は炎症の酷い場所、特に傷ができているような場所に使うと刺激になり、痒みや痛みが悪化してしまうことがあります。

 このような事態を防ぐために、「抗真菌薬」による根本治療に先駆けて、まずは皮膚の状態を整えるために「ステロイド」を使うことがあります2)。
水虫とステロイド~まず炎症、次に抗真菌
 2) 日経メディカル社 「ガイドライン外来診療(2009)」 白癬(皮膚糸状菌症)

薬剤師としてのアドバイス:「抗真菌薬」を使い続けられる環境作りが重要

 「抗真菌薬」は市販薬にもあるため、病院を受診せずに治療することもできます。

 しかし、「抗真菌薬」は症状が治まったら止めて良い薬ではなく、皮膚から完全に「白癬菌」が居なくなるまで使い続ける必要があります。
 そのため、痒みや痛みなどの不快な副作用がない状態で治療を続けることが非常に重要です。

 「抗真菌薬」を塗ると痛み・痒みが悪化するような場合には、無理に薬を使い続けず、一度皮膚科を受診することをお勧めします。

+αの情報:自称・水虫の3割が、水虫ではない

 「足の痒み=水虫」というイメージは強いですが、全てが水虫であるとは限りません。

 特に、自分で水虫だと思って皮膚科を受診した人の3割が水虫ではなく、単なる湿疹や皮膚炎であったとする調査報告があるほどです3)。

 3) 日皮会誌.105:483,(1995)

 水虫と違い、湿疹や皮膚炎であれば「ステロイド」が良く効きます。たかが塗り薬だと油断せず、原因がはっきりとわからない場合には皮膚科を受診するようにしてください。
 

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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