『タミフル』や『リレンザ』、薬をもらった初日も1日2回使うべき?~インフルエンザの薬の服用間隔
記事の内容
回答:『タミフル』は3時間以上、『リレンザ』は2時間以上あけて、2回使う
『タミフル(一般名:オセルタミビル)』や『リレンザ(一般名:ザナミビル)』は、1日に2回使う薬です。
通常、1日2回の薬は朝と夕で使いますが、インフルエンザの治療は発症から48時間以内に治療を始めることが重要です。
そのため、薬をもらったらすぐに1回目を使い、その後『タミフル』は3時間以上、『リレンザ』は2時間以上の間隔をあけて、できるだけ初日から1日2回使うことをお勧めします。
ただし、持病や併用薬・患者の状態によっては、もっと長い間隔が必要な場合もあります。夕方~日没後など遅い時間に薬をもらった場合には、当日の薬をどう使えば良いか主治医・薬剤師に確認するようにしてください。
回答の根拠①:早めに服用を始めた方が良い理由~薬の作用とウイルスの増殖
『タミフル』や『リレンザ』などのインフルエンザ治療薬は、ウイルスの増殖を抑える薬であって、既に増殖してしまったウイルスを退治する薬ではありません。
そのため、ウイルスの増殖が完了する前に使わなければ効果が期待できません。このタイムリミットの目安が「発症から48時間以内」です。
お昼前に薬を受け取ったのに、夕食後から薬を飲み始めるのでは、その間にインフルエンザウイルスはどんどん増えていってしまいます。薬をもらったら、すぐ1回目を使って治療を始めることをお勧めします。
回答の根拠②:『タミフル』の服用間隔~3時間の理由
『タミフル』は、添付文書上では投与間隔を必ず何時間以上あけなければならない、といった制限は設けられていません1)。
ただし臨床試験は、「安全性を十分に考慮し、3時間以上の投与間隔をあけて試験を行った」とされています2)。
1) タミフルカプセル 添付文書
2) 中外製薬 製品情報「タミフルカプセル75」FAQ
そのため、初日はこれに倣って最低でも3時間の間隔をあけて、2回服用するのが良いと考えられます。
食事は気にしなくても良い
『タミフル』は、食事の影響をほとんど受けません3)。多くの場合『タミフル』は「食後」で処方されますが、初回は食事をしてからではなく、薬を受け取ったらできるだけ早めに服用することをお勧めします。
3) タミフルカプセル インタビューフォーム
回答の根拠②:『リレンザ』の吸入間隔~2時間の理由
『リレンザ』も、『タミフル』と同様に添付文書上で具体的な投与間隔の記載はありません4)。
しかし、アメリカの同じ薬『Relenza』の添付文書には、「少なくとも2時間以上の間隔をあける」と記載されています5,6)。
4) リレンザ 添付文書
5) Relenza® 添付文書 (米国)
6) リレンザ インタビューフォーム
そのため、初日はこれに倣って最低でも2時間の間隔をあけて、2回吸入するのが良いと考えられます。
薬剤師としてのアドバイス:症状が治まっても最後まで薬は使い切る
『タミフル』や『リレンザ』を使うと、通常より1日程度早く症状が治まるため、2~3日で症状が無くなることもあります。
しかし、この段階ではまだウイルスは体内にたくさん残っています。ここで薬を自己判断で中断してしまうと、ウイルスが薬に対して「耐性」を持ってしまい、薬の効かないインフルエンザウイルスを自分の周囲にばら撒いてしまうことになります。
インフルエンザの症状が治まっても、必ず処方された『タミフル』や『リレンザ』は最後まで使い切るようにしてください。またウイルスをばら撒かないためにも、会社や学校・保育所などは定められた期間を休み、自宅で安静に過ごすようにしてください。
ポイントのまとめ
1. 『タミフル』や『リレンザ』は、処方された初日からできるだけ1日2回で使う
2. 『タミフル』は3時間以上、『リレンザ』は2時間以上の間隔をあけて使う
3. 熱などの症状が治まっても、必ず最後まで薬を飲み切る
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
大変わかりやすくて助かります!