「コエンザイム」って何?~健康食品・サプリメントの謳い文句に要注意
回答:補酵素のこと
「コエンザイム」は、”co-enzyme=補酵素”・・・酵素が反応するために必要な物質の総称のことで、生物の生存や発育に必要な栄養素です。
ビタミンB類などもコエンザイムの一種として知られています。
ヒトの細胞に多く含まれているものは、その中でも「コエンザイムQ10」で、”抗酸化作用”を期待する健康食品やサプリメントにも含まれています。
回答の根拠:健康食品やサプリメントの謳い文句には要注意
「コエンザイムQ10」は、うっ血性心不全の症状改善にも効果があるとして『ノイキノン(一般名:ユビデカレノン)』という薬が承認されています。
このため、時おり「コエンザイムQ10」を含む健康食品やサプリメントを「医薬品としても効果が認められた」という謳い文句で販売している店がありますが、これは事実と異なります。
健康食品やサプリメントが期待するのは”抗酸化作用”ですが、『ノイキノン』が効果を発揮するのは細胞のエネルギー産生を活発にすることによるためです1)。抗酸化作用が医薬品として認められたわけではありません。
1) ノイキノン錠 添付文書
また、「コエンザイムQ10」はヒトの体内でも合成できる物質であり、ビタミンであるという生科学的な証拠が不十分であるとして、現在も”ビタミン”には分類されていません。また、厚生労働省が定める栄養機能食品の栄養素17種の中にも含まれていません。
「コエンザイムQ10」をあたかもビタミンであるかのように述べている販売店は注意が必要です。
※栄養機能食品に定められている栄養素
亜鉛、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1・B2・B6・B12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸
薬剤師としてのアドバイス:気に入ったのなら使うこともアリ
「コエンザイムQ10」という物質に抗酸化作用があることは確かです。しかし、だからと言って「コエンザイムQ10」を飲んでおけば抗酸化作用によって生活習慣病を予防できます、等と言うと薬事法違反になります。実際に予防できるかどうかという科学的根拠がありません。
この科学的根拠の有無が、医薬品と健康食品の最も大きな違いです。
世の中には非常に怪しげな健康食品やサプリメントが多く存在します。そんな中では、「コエンザイムQ10」は、医薬品としても使用されている優秀な成分であると言えます。
もし使ってみて体調が良くなった感じがしたり、せっかくだから健康に気を遣って飲んでみよう、というのであれば、「コエンザイムQ10」は薬剤師としてもお勧めな成分です。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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