「ヒブワクチン」の接種は受けるべき?~接種をお勧めする6つの理由
回答:接種を受けるべき
以下の理由から、「ヒブワクチン」の接種はきちんと受けることをお勧めします。
①細菌性髄膜炎は、初期症状が風邪と似ていて、早期診断が難しい
②細菌性髄膜炎は重篤な感染症で、発症すると致命的になることもあり、後遺症が残ることもある
③最近は”耐性菌”による感染も増えており、発症してからの治療よりも、予防する方が確実である
④ヒブと肺炎球菌の予防接種をすることで、細菌性髄膜炎の原因菌の8割を予防できる
⑤ヒブワクチンは世界100ヶ国、15年以上の使用実績があり、その効果からWHOも推奨している
⑥日本では、無料で受けられる
「ヒブワクチン」は、「細菌性髄膜炎」を予防するワクチンです。平成25年度から公費で接種できる定期接種として導入されています。
年齢や市町村によって多少異なりますが、一般的には発症が増え始める6ヶ月になるまでに、4~8週間の間隔をあけて3回接種しておくことが推奨されています。
詳しい回答①:”細菌性髄膜炎”とは
「細菌性髄膜炎」は様々な細菌が、脳や脊髄を覆っている髄膜の奥まで入り込むことによって発症します。この時、脳や脊髄の中にまで細菌が入り込んでしまうと、重篤な症状を起こしたり、後遺症が残ったりといった恐れがあります。
この「細菌性髄膜炎」は、日本でも毎年約1,000人が発症しており、多くは生後6ヶ月~1歳までにかかることが多い感染症です。
乳幼児がかかる感染症の中では重篤なものの一つであり、約10~30%の患者が亡くなり、治癒しても約25%の患者に難聴やてんかん、知能障害といった後遺症が残ることが知られています1)。
これには、初期症状が風邪とよく似ているために、早期診断が難しいという要因もあります。
1) 日本神経感染症学会 「細菌性髄膜炎診療ガイドライン」
原因となる菌の中でも、ヒブ(Hib:インフルエンザ菌b型)が約60%、肺炎球菌が約20%を占めています。そのため、「ヒブワクチン」と「肺炎球菌」の予防接種を受けることが、「細菌性髄膜炎」の予防に極めて有効です。
※インフルエンザ菌とインフルエンザウイルス(毎年冬に大流行するもの)は全く異なるものです。
これらの細菌は、普段から喉や鼻に棲みついている身近な細菌であるため、いつ、だれが、どういったタイミングで感染・発症するかわからないのも問題です。
詳しい回答②:ヒブワクチンの接種に副作用はないのか?
予防接種には確かに副作用が存在し、その可能性はゼロではありません。
しかし、予防接種によって何か副作用が起こる可能性よりも、予防接種をしなかった場合に感染症を発症する可能性の方が遥かに高いものです。
また「細菌性髄膜炎」を発症した場合の致死率や後遺症を考えると、予防接種をしない方が良い、ということはありません。
特に「ヒブワクチン」は世界100か国以上で使用されており、これまでに1億5000万回以上の接種実績があります。その効果と安全性は世界保健機関(WHO)にも認められており、ワクチン接種を推奨しています。
予防接種の危険性を議論するよりも、健康な状態で予防接種を受け、接種を受けた後はしばらく注意深く様子を見守る、といった対応をする方が賢い選択です。
滅多に起こりませんが、万が一、以下のような症状が見られた際には一度主治医に連絡することをお勧めします。
・ショック状態
失神する、意識がなくなる、チアノーゼ(唇が紫色)になる、呼吸困難になる
・アナフィラキシー(アレルギー)
喘息のような症状がある、全身が真っ赤になる、血管が腫れている
・痙攣
全身が痙攣を起こしている、脱力している
・血小板減少性紫斑病
あちこちに青アザができている、歯ぐきや鼻から出血している、血尿・血便が出る
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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