『クラビット』に『ビオフェルミンR』、意味あるの?~整腸剤を併用できる抗生物質の種類
記事の内容
回答:保険適用上は、併用できない
『ビオフェルミンR』は、『クラビット(一般名:レボフロキサシン)』など「ニューキノロン系」の抗生物質に対する「耐性」はありません。
つまり、理論上は『ビオフェルミンR』の耐性乳酸菌であっても、『クラビット』の作用によって死滅してしまうことを意味しています。
そのため、『クラビット』と『ビオフェルミンR』の併用は、保険適用外の扱いになります。
ただし、併用しても全く効果がない、と証明されているわけでもないため、医師の判断で併用されるケースもあります。
回答の根拠①:『ビオフェルミンR』の耐性乳酸菌が持つ「耐性」の範囲
『ビオフェルミンR』は、抗生物質で死滅しない「耐性」を持った乳酸菌の薬です。
ただし、特定の抗生物質に対する「耐性」のみを持つものであって、全ての抗生物質に対する「耐性」を持っているわけではありません。
※ビオフェルミンRが耐性を持つ抗生物質 1)
ペニシリン系
セフェム系
アミノグリコシド系
マクロライド系
テトラサイクリン系
ナリジクス酸
1) ビオフェルミンR錠 添付文書
これら以外の抗生物質との併用は「保険適用外」であり、効果は立証されていません2)。併用を避けるか、あるいは時間差をつけて服用する必要があります。
2) 病院薬学.19(4):295-302,(1993)
回答の根拠②:実際の治療効果に対する影響
『クラビット』と『ビオフェルミンR』を併用しても、治療効果に影響するほど『ビオフェルミンR』の効果が弱まるといった報告もないため、併用しても問題ないとする見解もあります3)。
3) 第一三共(株) クラビット錠 製品情報
薬剤師としてのアドバイス:新しい抗生物質に対して、一つずつ検証はできない
薬は日々進化し、新しい薬も登場し続けています。
抗生物質も同様、新しい薬が次々に登場しています。新しい抗生物質が登場するたびに、一つずつ『ビオフェルミンR』との関係を全て調査することは、事実上不可能です。
そのため、保険適用という理論・原則にばかり縛られていると、『ビオフェルミンR』は新しい抗生物質とは全く使えなくなってしまいます。
こうした事態は、実際に抗生物質で下痢や軟便などの副作用を起こす人を前にして、あまり好ましいものではありません。
これらの理論・原則を踏まえた上で、医師は目の前の人の副作用を少しでも和らげるために、保険適用外の抗生物質であっても『ビオフェルミンR』を併用する、という判断をすることもあります。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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