『ロキソニン』を1錠飲んだが効かない。もう1錠追加で飲んで良い?
回答:先に、効かない理由を考える
『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』を飲んでも痛みが治まらない場合、原因は3つ考えられます。①痛みを抑えるためには、『ロキソニン』の量が足りない (投与量の問題)
②『ロキソニン』がまだ効き始めていない (時間の問題)
③そもそも、『ロキソニン』で治まる痛みではない (薬の選択の問題)
このうち、『ロキソニン』を追加で飲んで効果が期待できるのは、①のケースだけです。
頓服で服用して「効かない」と思うとき、まずは「前の1錠を飲んだのは、いつ頃か」を考えます。
『ロキソニン』は通常、飲んで30~45分ほどで効果が現れ始めると考えられます。遅くとも1時間経てば、効果が現れてきます。
この「薬が効き始めるまでの時間」は、『ロキソニン』を追加しても大して短縮されません。待つしかありません。
また、神経痛などそもそも『ロキソニン』が効く痛みではない場合、いくら『ロキソニン』を飲んでも効きません。適切な薬に変更するなどの対応が必要です。
通常、『ロキソニン』は1錠で十分に効果を発揮します。1錠で痛みが治まらない場合は、その旨を一度主治医と相談し、原因の特定や薬の変更などを検討するようにしてください。
回答の根拠:『ロキソニン』の体内動態
薬が効き始めるまでの時間は、体内動態のデータ・・・特にTmaxを参考にします。Tmaxは、「飲んだ薬が血液中に吸収されて、その濃度がピークに達するまでに要する時間」のことです。複雑な動態の薬でない限り、血液中の濃度がピークに達するまでに薬の効果は現れ始めると考えられます。
『ロキソニン』のTmaxは0.79時間(約50分)です1)。そのため、薬が効き始めるまでに、30~40分程度の時間は必要と考えるのが妥当です。
1) ロキソニン錠 添付文書
「薬の効果が無い」のか、「薬がまだ効き始めていない」だけなのか、薬の効果が現れるまでのタイムラグを待ってみなければ、判断することはできません。
「薬がまだ効き始めていない」だけなのに『ロキソニン』を安易に追加すると、血中濃度が必要以上に上昇し、胃が荒れて腹痛を起こすなどの副作用を起こす恐れがあります。
薬剤師としてのアドバイス:『ロキソニン』は万能の痛み止めではない
『ロキソニン』は、万能の痛み止めではありません。ひとことに「頭痛」や「腰痛」と言っても、『ロキソニン』が効かないものもあります。頭痛・・・片頭痛には効きにくいほか、脳疾患や、副鼻腔炎による頭痛に対しても根本的解決にならない。
腰痛・・・ビリビリ・ジンジンするような神経の痛みには効かない
腹痛・・・胃が荒れて痛む場合には逆効果
また、解熱薬として使用する場合には、そもそも平熱まで下げる必要がないことも知っておく必要があります。
さらに、インフルエンザの際には安易に解熱鎮痛薬を使うと「インフルエンザ脳症」を引き起こすリスクになることにも注意が必要です。
+αの情報:1回に2錠飲む用法
『ロキソニン』には、痛みの原因によっては頓服で1回に2錠を飲む用法もあります。また、薬としては、健康な人であれば1日240mg(4錠)まで安全に使用できるとされています2)。
2) ロキソニン錠 インタビューフォーム
ただし、こういった使用方法は医師・薬剤師の判断・指導のもとで行うもので、自己判断でするものではありません。
普通の痛みであれば1回1錠で効果があります。1錠で効かない場合は、『ロキソニン』が効かない痛みである可能性も考えて、一度病院を受診することをお勧めします。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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