薬の副作用には、どんなものがある?~副作用を3つに分類するとよくわかる
回答:薬の効き過ぎ、肝臓や腎臓への負担、薬剤アレルギーの3パターン
副作用の有無や種類に関する質問は、薬剤師がよく受ける質問の1つですが、それぞれの薬の副作用を一つずつ列挙していてはキリがありません。しかし、薬の「副作用」を以下の3パターンに分類することで、おおまかに注意や対処の方法を把握することができます。
①薬が効き過ぎて起こるもの
②腎臓や肝臓に負担がかかって起きるもの
③薬に対する過敏症
ただし、まだ一度も起きていない副作用であっても、今後も絶対に起こらないとは言えません(悪魔の証明)。全ての薬には潜在的なリスクが存在している、ということには注意を払う必要があります。
①薬が効き過ぎて起こるもの
もともと薬が持っている効果や作用が、強く出過ぎたために起こるものです。 血圧を下げる薬を飲んだら、下がり過ぎて低血圧になった。
下剤を飲んだら、緩くなり過ぎて下痢をした。
睡眠薬を飲んだら、効き過ぎて翌朝まで眠かった。
・・・こういったタイプの副作用は、薬の効果の延長線上にあります。
当然、副作用の頻度も高くなりますが、薬の効果がわかっている以上、予測もしやすいものです。
ただし、同じ薬を同じ量で使っていても、体調によって副作用が出る時と出ない時があるため、いつも使っている薬だから安心、というわけにはいきません。
「薬の効き過ぎ」で起こるタイプの副作用は、薬の量を減らしたり、同系統の薬に変えたり、といった対処で回避することができますが、自己判断での調節や変更は危険ですので、一度主治医の先生に相談するようにしてください。
②腎臓や肝臓に負担がかかって起こるもの
薬を分解・排泄する腎臓や肝臓に少しずつ負担がかかり、後々になって気が付くものです。 薬は必ず腎臓か肝臓を通って分解・排泄、どんな薬でも多少の負担はかかります。負担のかかりやすい薬を使っていたり、薬を飲む量が多かったり、薬を飲む期間が長かったりするほど、肝臓や腎臓への負担は大きくなります。
特に負担をかけやすい薬を服用中は、定期的に血液検査を行います(例:水虫治療の『ラミシール(一般名:テルビナフィン)』)。
また、もともと腎臓や肝臓が弱っている場合には、薬の量を調節しなければならないこともあります。
通常は、定期的に医師の診察を受け、また毎年の健康診断で、ASTやALT、LDHといった肝臓の数値や、BUNや尿蛋白といった腎臓の数値を確認しておくことで十分です。
ただし、薬を使っていて体調に異変を感じた場合は、自己判断で薬を止めたりするのではなく、必ず一度主治医の診断を受けるようにしてください。
③薬に対する過敏症
薬が身体に合わない場合に起こる、過敏症やアレルギーの副作用です。有名なものに、「ピリンアレルギー」があります。
そばアレルギーの人は、そば殻を使った枕に触れるだけで症状が出るのと同様、このタイプの副作用は、飲んだ薬の量が微量であっても激しい症状になる恐れがあります。
また、副作用によるダメージが、全身のあらゆる臓器に及ぶ可能性もあります。
こういった副作用が現れた場合には、すぐに薬の使用を中止し、病院で処置を受ける必要があります。
このタイプの副作用を防ぐために、薬局では「問診票」で副作用歴の記入をお願いしています。また、似たような薬で副作用がなかったかどうかを、指導時に確認する場合もあります。
「薬の過敏症」による副作用はほとんどの場合、薬を飲み始めてからすぐ、「発熱」や「痒み」といった初期症状と共に起こります。半年以上その薬を使っていて何も起きていない場合には、今後も過敏症は起こらないと考えるのが一般的です。
薬剤師としてのアドバイス:副作用だ!と思い込む前に
薬を飲んでいて、何か体調に異変を感じたときは、主治医の診察を受けるのが鉄則です。本当に薬の副作用なのか、あるいは体調の変化なのか、その判断をしてもらうためです。自己判断で「副作用だ!」と思い込んで、薬を勝手に中止してしまうことは、非常に危険です。
また、自分が使っても平気だからといって、家族も平気とは限りません。特に③の過敏症は、いつ、誰に起こるかわかりません。
自分の薬を他人に譲ったり、他人の薬を使ったりすることは極めて危険ですので、絶対に止めてください。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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