「のど飴」と「トローチ」は、何が違うの?~喉の不快感解消と感染予防
記事の内容
回答:感染予防か、喉の不快感解消か
病院で処方される『SPトローチ(一般名:デカリニウム)』は、殺菌・消毒作用を持つ医薬品です。
咽頭炎や扁桃炎、口内炎などを起こしている際の、感染予防を目的に使用します。
「のど飴」は、喉の不快感を和らげることを目的に使用します。
そのため、ハチミツやハーブなどを配合したものが多く販売されています。
「のど飴」の中にも、「ヴィックス」のような医薬部外品では、殺菌・消毒作用を持つ「うがい薬」の成分が含まれているものもあります。
いずれも、なるべく長時間口に含み続け、口や喉に溶解液を触れさせる必要があります。ボリボリと噛んでしまわないようにしましょう。
回答の根拠①:『SPトローチ』の殺菌・消毒作用
『SPトローチ』の有効成分は「デカリニウム」という殺菌・消毒薬です。グラム陽性菌や真菌などの菌に対して作用を発揮します1)。
咽頭炎や扁桃炎、口内炎などで口内環境が悪化していると、そこが細菌に感染しやすくなります。『SPトローチ』は、こういった場合の殺菌・消毒を目的に使用します1)。
1) SPトローチ 0.25mg「明治」 添付文書
回答の根拠②:殺菌・消毒作用を持つ、医薬部外品の「のど飴」
「のど飴」にも、『SPトローチ』と同じように殺菌・消毒作用がある「うがい薬」の成分を含んでいるものがあります。
医薬部外品である「ヴィックス」の有効成分は「セチルピリジウム」です。
「セチルピリジウム」は、扁桃腺炎や咽頭炎の症状改善に役立つことが報告されています2)。
2) 薬理と治療.4:1874,(1976)
薬剤師としてのアドバイス:医薬品は用法・用量を守って使う
『SPトローチ』は、のど飴のようなイメージを持たれがちですが、殺菌・消毒作用を持つ医薬品です。『SPトローチ』とのど飴は、感染予防と喉の不快感の解消という全く別の目的で使用するもののため、正しく使い分ける必要があります。
『SPトローチ』は、用法も1日6回と規定されています1)。あまり大量に摂取すると下痢をするなどの副作用を起こす恐れがありますので注意してください。
+αの情報:「トローチ」という名前の色々な商品
「トローチ」とは、口に含んで徐々に溶解させるタイプの薬の総称で、「錠剤」や「散剤」・「シロップ」ような剤型を示す言葉です。
そのため、『SPトローチ』以外にも、様々な「トローチ」の薬が存在します。
剤型が「トローチ」の薬の例
『オラドール(一般名:ドミフェン)』・・・陽イオン界面活性剤を利用した殺菌・消毒薬のトローチ
『エンペシド(一般名:クロトリマゾール)』・・・抗真菌薬のトローチ
『アクロマイシン(一般名:テトラサイクリン)』・・・テトラサイクリン系抗生物質のトローチ
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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