「狭心症」と「心筋梗塞」、同じ心臓の血管トラブルは何が違うの?
回答:壊死してしまうかどうか
「狭心症」と「心筋梗塞」はどちらも、心臓の血管に起こるトラブルです。心臓へ血液を送る血管が狭くなったり詰まったりすることで、心臓が酸素不足に陥り、正常に働かなくなってしまいます。
違いは、心臓の組織が壊死してしまうかどうかです。
「狭心症」では、一時的に血管が狭くなるものの、しばらく安静にしたり『ニトロペン(一般名:ニトログリセリン)』など血管を広げる薬を飲んだりすると元に戻るため、心臓の組織が死んでしまうことはありません。
しかし、「心筋梗塞」では血管が完全に閉塞してしまい、自然には復旧しないため、そこから先の心臓組織は壊死してしまいます。
「狭心症」と「心筋梗塞」の違いは、医療従事者や学生がどの程度、循環器系の病態を理解しているのか?を推し量るキラークエスチョンの定番です。
「狭心症」と「心筋梗塞」の痛み方の違い
「狭心症」と「心筋梗塞」はどちらも「胸の痛み」を最初に感じることが多い傾向にあります。・狭心症
胸だけが、締め付けるように、圧迫されるように痛み、1~3分程度の波があり、動悸や息切れを感じる
・心筋梗塞
胸を中心に、肩や腕、背中と広範囲に激しい痛みやだるさ、痺れを感じ、それが30分以上続きます。その際、息苦しさや冷や汗、悪寒、発熱、脈の乱れを感じる
ただし、痛みの感じ方は人によって個人差があり、胸ではなく肩や背中の痛みとして感じることもあります。特徴的な痛み方と異なるからといって安心することはできません。
薬剤師としてのアドバイス:気になる胸の痛みは、病院へ
「狭心症」は、一時的に血管が狭くなるだけですが、当然、その際には心臓に負担もかかりますし、胸に痛みも感じます。軽い「狭心症」はすぐに治まるとは言え、いつ完全に詰まってしまうかわかりませんので、早めに治療を開始することをお勧めします。
なお、更年期の女性では『ニトロペン』が効きにくく、カテーテル検査でもわかりづらい「微小血管狭心症」という狭心症を起こすこともあります。
こういった特殊な狭心症の場合もあるため、胸の痛みが気になる場合は病院で精密検査を受けるようにしてください。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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