『エキザルベ』ってどういう薬?
記事の内容
回答:「炎症止め」と「感染予防」の塗り薬
『エキザルベ(一般名:ヒドロコルチゾン + 混合死滅菌浮遊液)』は、炎症止めと感染予防の効果を持つ塗り薬です。
乳幼児の”おむつかぶれ”や、大人のデリケートゾーンのトラブルなど、皮膚が薄い場所で、細菌感染の恐れがある場合によく使用します。
回答の根拠:「ヒドロコルチゾン」と「混合死滅菌浮遊液」の作用
エキザルベの成分(5g中)は、以下の2つです1)。
ヒドロコルチゾン 2.5mg
混合死滅菌浮遊液 0.166mL
1) エキザルベ 添付文書
ヒドロコルチゾン
「ヒドロコルチゾン」とは、いわゆるステロイドです。
しかし、最も穏やかな作用のもので、更に含まれる濃度も低いため、『エキザルベ』は「ステロイド外用剤」には分類されていません。
混合死滅菌浮遊液
「混合死滅菌浮遊液」とは、既に病原性を失わせた細菌のことです。
(組成) 1)
大腸菌死菌:約1.5億個
ブドウ球菌死菌:約1.5億個
レンサ球菌死菌:約0.15億個
緑膿菌死菌:約0.15億個
これらの細菌は既に「死滅」しているので、新たに感染するような力はありません(例:不活化ワクチン)。
しかし、皮膚に付着すると人間の身体は「細菌がくっついた!」と認識します。
細菌が皮膚についたと認識した身体は、その場所に白血球を集めて免疫能力をアップさせます。
薬を塗った場所に白血球が集まってくるために、その場所の「感染に対する防御力」が上がります2,3)。これを「白血球遊走能を高めることで、局所の感染防御作用を発揮する」と表現します。
2) 薬理と治療.5(2):397,(1977)
3) 薬理と治療.2(9):1463,(1974)
『エキザルベ』は、局所的にワクチンと同じような働きをする薬と言えます。
+αの情報:傷を治す効果
『エキザルベ』には、「肉芽形成促進作用」と呼ばれる、傷の治りを促す効果もあります2)。
「肉芽」とは、皮膚を再生するときのスタート地点、まさに「芽」のことです。薬を塗ることでこの「芽」がたくさん作られるので、損傷を受けた皮膚の修復がスピードアップします。
薬剤師としてのアドバイス:何度も塗り直しが必要な場合は、別の薬をもらおう
『エキザルベ』は、おむつ交換の時や、すぐにとれてしまった場合などは塗り直しすることも可能です。
しかし、『エキザルベ』にはステロイドである「ヒドロコルチゾン」が微量ながら含まれていることも事実です。
一時的な使用であれば問題にはなりませんが、長期的に頻繁な塗り直しが必要な場合は、より害の少ないない『亜鉛華軟膏(一般名:酸化亜鉛)』や『プロペト(一般名:白色ワセリン)』などを、「塗り直し用」として追加処方してもらうよう、医師に相談することをお勧めします。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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