■サイト内検索


スポンサードリンク

高血圧 薬の誤解

/

高血圧で『アーチスト』という薬を飲んでいるが、心不全の友人より量が多い。そんなに重症なの?

回答:重症度と薬の量は、必ずしも比例しない

 症状が重ければ薬の量が多くなることが一般的ですが、全ての薬がそうではありません。

 『アーチスト(一般名:カルベジロール)』は、心不全には1.25mg~10mg、高血圧には10~20mgで使用する薬です。そのため、重症度とは関係なく、高血圧患者の方が心不全患者よりも飲む薬の量が多くなる傾向にあります。

 心不全よりも重症な状態の高血圧だからたくさんの量を飲んでいる、というわけではありません。

回答の根拠:『アーチスト』の適応症

 『アーチスト』には、高血圧、狭心症、心不全の3つの適応症があります。この3つの症状に対して、それぞれ異なる薬の使い方をします。

※『アーチスト』の用法・用量 1)
1.本態性高血圧、腎実質性高血圧・・・1日1回10~20mg
2.狭心症・・・1日1回20mg
3.慢性心不全・・・1回2.5~10mgを1日2回

 1) アーチスト錠 添付文書

 つまり、『アーチスト』は高血圧には10mgより多い量、心不全には10mgより少ない量で使用する薬です。これは重症度とは関係なく、病気の種類によって決まるものです。

 また、『アーチスト』には1.25mg、2.5mg、10mg、20mgという含有量の異なる4種類の錠剤がありますが、含有量によって効能が異なる変わった薬です。

1.25mgの錠剤 → 慢性心不全のみ
2.5mgの錠剤   → 慢性心不全のみ
10mgの錠剤    → 高血圧、狭心症、慢性心不全の3つに適応
20mgの錠剤    → 高血圧、狭心症の2つに適応

薬剤師としてのアドバイス:薬の量だけでは比較できない

 薬の使い方は、その人の環境や体質など様々な要因によって変わります。症状だけで決まるものではありません。
 また、mgや%だけで薬の強さを比較することもできません。更に『アーチスト』のように、同じ薬であったとしても、薬の量と重症度が比例しないものもあります。

 このように薬は単純には比較できませんので、もし使い方について疑問に感じた際には一人で悩まず、医師・薬剤師に相談するようにしましょう。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

■主な活動

【書籍】
■羊土社
薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます(2022年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
医学論文の活かし方(2020年)
服薬指導がちょっとだけ上手になる本(2024年)

 

【執筆】
じほう「調剤と情報」「月刊薬事」
南山堂「薬局」、Medical Tribune
薬ゼミ、診断と治療社
ダイヤモンド・ドラッグストア
m3.com

 

【講演・シンポジウム等】
薬剤師会(兵庫県/大阪府/広島県/山口県)
大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学)
学会(日本医療薬学会/日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/日本腎臓病薬物療法学会/日本医薬品情報学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

【監修・出演等】
異世界薬局(MFコミックス)
Yahoo!ニュース動画
フジテレビ / TBSラジオ
yomiDr./朝日新聞AERA/BuzzFeed/日経新聞/日経トレンディ/大元気/女性自身/女子SPA!ほか

 

 

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

■ご意見・ご要望・仕事依頼などはこちらへ

■カテゴリ選択・サイト内検索

スポンサードリンク

■おすすめ記事

  1. 『ロキソニン』と『カロナール』、同じ解熱鎮痛薬の違いは?~効…
  2. 今さら聞けないインフルエンザの予防接種の話~ワクチンの効果と…
  3. 『ロキソニン』と『セレコックス』、同じ鎮痛薬の違いは?~速効…
  4. 『ミラペックス』と『ペルマックス』、同じパーキンソン病治療薬…
  5. 『ゾフルーザ』と『タミフル』、同じインフルエンザ治療薬の違い…
  6. 添付文書に記載された副作用頻度の数字を、単純に比較してはいけ…
  7. 『アダラート』・『カルブロック』・『アテレック』、同じCa拮…

■お勧め書籍・ブログ

recommended
recommended

■提携・協力先リンク

オンライン病気事典メドレー

banner2-r

250×63

スポンサードリンク
PAGE TOP