「抗生物質」を飲んでいると”下痢”をするのは何故?~最も多い副作用の原因と対策
回答:腸内の善玉菌もまとめて倒してしまうから
抗生物質は、病気の原因となっている悪い細菌だけでなく、腸内の環境を整えている善玉菌も一緒にまとめて倒してしまいます。これによって、腸内細菌のバランスが崩れ、下痢や軟便、時には便秘といった副作用が起こります。
回答の根拠:良い細菌、悪い細菌のバランス
人間の腸内には、「ビフィズス菌」に代表されるような”善玉菌”と呼ばれる細菌が存在しています。善玉菌は腸内の環境を整える働きをしている”良い細菌”です。一方で、「ウェルシュ菌」に代表されるような”悪玉菌”も腸内に存在します。悪玉菌が増えるとお腹の調子を崩すほか、便秘や肌荒れの原因となる”悪い細菌”です。
この善玉菌と悪玉菌の勢力バランスがとれている間は、腸の働きも順調で健康が維持されます。
「抗生物質」を飲むと、ターゲットである「病原菌」と一緒に、善玉菌と悪玉菌もまとめて退治されてしまいます。
その結果、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ、腸内での水分調整が不調になり、下痢や便秘を起こすことがあります。
薬剤師としてのアドバイス①:多少の下痢や便秘は、我慢して薬を続ける
この下痢は一時的なもので、薬を飲み終わると自然に元のバランスのとれた状態に戻って行きます。そのため、多少の下痢や便秘があるからといって、抗生物質の服用を自己判断で中断しないようにしてください。抗生物質を途中で止めてしまうと、次から薬が効かない”耐性菌”が生まれる原因となります。
ただし、脱水症状につながる恐れのある”水のような酷い下痢”をしている場合は一度主治医に連絡し、薬の変更や中止について相談するようにしてください。
薬剤師としてのアドバイス②:いつもお腹の調子を崩すという方は
抗生物質でいつもお腹の調子が悪くなる、という場合は、『ビオフェルミンR』などの整腸剤を一緒に処方してもらうよう、医師と相談してください。 『ビオフェルミンR』は、通常の『ビオフェルミン』とは異なり、抗生物質で退治されないよう「耐性」を持った善玉菌の製剤です。
抗生物質と併用することで、副作用による下痢や便秘といったトラブルを軽減することができます。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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