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知っておくべきこと 薬学コラム

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【反論】「ダマされるな!医者に出されても飲み続けてはいけない薬」という週刊誌にダマされないために


 つい先日、表題のような記事が週刊誌に掲載され、色々な議論を呼んでいます。実際、薬局でも「私もこの薬を飲んでいるんだけど・・・」と聞かれることがあります。
 およそ、日本でよく売れている薬を全部危ないと言っているようなものなので、薬を飲んでいるほとんどの人がぎょっとしたはずです。

 しかし、この週刊誌の記事は人目を惹くために、薬のネガティブな部分だけを極端に強調した、非常に偏った内容のものです。読み物としては刺激的ですが、命に関わる医療や薬に対して、誤解や偏見を招きかねない表現には問題があります。

 この週刊誌を根拠に薬を中断し、病気が再発・悪化しても、週刊誌は一切責任をとってくれません。自己判断で薬を止めたりはせず、薬に関する疑問や不安を感じた場合には、必ず主治医・薬剤師に相談するようにしてください。

使い方を間違えれば、なんでも危険なものになる

 薬は、使い方を間違えば危険なものです。しかし、それは別に薬に限ったことではありません。

 みんな「自動車」に乗って移動しているけど、走っている「自動車」にぶつかったら死んでしまう。
 みんな「電気」を使って生活しているけど、「電気」を直接人間に通したら死んでしまう。
 みんな「ガス」を使ってお湯を沸かしているけど、「ガス」を吸い続けたら死んでしまう。
 みんな「火」を使って料理しているけど、「火」で人間を炙ったら死んでしまう。

 そのくらい、極端なものです。

 
 確かに、薬には副作用もあり、使い方を間違ると危険なものであることに違いはありません。
 だから、医師や薬剤師といった専門家の話をきちんと聞いて、正しく使う必要がある
のです。
薬は危ないものだから
 危険な面がちょっとでもあるなら使わない、というのであれば、明日から自動車も電気もガスも、火さえも使えなくなります。

言い方を変えれば、なんでも危険なものになる

 ただの「水」であっても、ネガティブな部分だけを強調し、さも危険な言い方で紹介すれば、ほとんどの人が簡単に騙される、という社会実験があります。
 有名なネイサン・ゾナーの「一酸化二水素(DHMO)」の話題です。

①酸性雨の主な成分であり、温室効果によって地球温暖化の要因になる
②末期がんの患者の腫瘍細胞から、必ず検出される
③多くの金属を腐食・劣化させる
④触れることで火傷の症状を起こすことがあり、特に固体状態のDHMOでは皮膚に損傷を起こす
⑤高レベルのDHMOに曝されることで、植物の成長が阻害される

 こうした無味無臭で透明な物質による汚染が広がっているから使わないようにしよう、という警鐘に、多くの人が賛同して署名活動をしました。

 しかし、これはただの「水(H2O)」のことです。
一酸化二水素こと、ただの水
 ただの「水」であっても、このように敢えてネガティブな部分だけを強調し、ことさら危険なもののように言えば、超危険物質のように聞こえます。

 この週刊誌の内容は、およそ薬に関して同様にネガティブな部分だけを強調して書かれたものと言えます。

 薬や医療に関する情報は、病気という全ての人の不安に直結する情報です。そうした人の弱みにつけ込んで不安を煽るような行動は、決して褒められるものではありません。

薬剤師としてのアドバイス:週刊誌が気になったのは、”不安や疑問の種”があるということ

 多くの医師・薬剤師は、患者のためを思って、責任を持って薬を使っています。不安を煽るだけ煽って何の責任もとらない週刊誌とは違います。

 しかし、薬に対して極端にネガティブな部分を強調するのも問題ですが、逆にポジティブな部分しか強調しないのも問題です。
 全ての薬には副作用があり、たとえ正しく使っていても副作用を起こすリスクがあります(※だから、副作用被害救済制度という補償制度があります)。

 「たかが週刊誌の話」と片付けてしまうのではなく、自分が気になった部分や引っかかった部分は、自分にとって少なからず不安や疑問がある部分のはずです。(例:この薬を飲み続けていて、本当に治るのかな?)

 こうした「不安や疑問の種」は、週刊誌を読むことで気付くことのできた自分自身のテーマです。主治医やかかりつけの薬剤師に相談し、きちんと解消しておくことをお勧めします。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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■日経メディカル開発
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