冷蔵庫の温度は、毎日記録しないといけない?~よくある薬局個別指導の内容
回答:記録する必要がある
薬局では、冷所保存(1~15℃)の医薬品を適切に保管していることを証明するために、冷蔵庫の温度を毎日確認し、業務日誌に記録しておく必要があります。記録がなく、個別指導で指摘される薬局がたくさんありますので、注意してください。
回答の根拠①:医薬品医療機器等法と、その規則で決められた義務
管理薬剤師は、薬局の構造設備や医薬品などを適切に管理する義務があります1)。 このとき、医薬品を保管している冷蔵庫は、薬局の構造設備に該当します。そのため、冷蔵庫が故障していないかどうか、毎日点検を行う義務が生じます。
その際、冷蔵庫の温度は「薬局の管理に関する事項」に該当するため、「薬局の管理に関する帳簿(いわゆる業務日誌)」に記録しなければなりません2)。
2) 医薬品医療機器等法施工規則 第十三条の二(薬局の管理に関する帳簿)
これらのことから、業務日誌には冷蔵庫の温度に関する欄を設け、毎日温度を記録しておく必要があります。
※「医薬品医療機器等法」とは、新しくなった薬事法のことで、正確には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」といいます。
回答の根拠②:冷蔵庫の正しい温度とは
「冷所」とは、具体的に1~15℃のことを指します3)。3) 第十六改正日本薬局方通則
一方で冷蔵庫とは、室温が15~30℃の時に、冷蔵室を0~8℃(霜取り中は10℃まで)で維持できるものと決められています4)。
4) 日本工業規格(JIS)「家庭用電気冷蔵庫及び電気冷凍庫の特性及び試験方法」 (JIS C9801:2006)
そのため、冷蔵庫が故障し、冷蔵室の温度が15℃以上になっていないことを確認するという点検作業が必要です。
薬剤師としてのアドバイス:冷蔵庫の温度は、何度も指摘されていること
薬局は、医薬品が不良品になってしまわないように、確実に保管しておかなければなりません。そのため、冷所保存の薬がきちんと保管されているかどうかを確認することは、重要な業務です。また、薬局の個別指導で「冷蔵庫の温度記録がない」ということは、これまでに何度も指摘されています。個別指導の事例にも挙げられ、徹底するような通知も幾度となく発せられています。
この状態で未だに指摘される薬局が多いのは、薬局が医薬品の管理を甘く見ている、個別指導対策や情報収集を怠っていると思われても仕方ありません。
いま一度、業務日誌などの書類に不備がないかどうか確認し、確実な業務を心がけるようにしましょう。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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