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子どもの薬 相互作用

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『ダイアップ』と『アルピニー』、どちらを先に使ったら良い?~熱性けいれんの坐薬を使う順序

回答:先に『ダイアップ』、30~60分空けてから『アルピニー』

 熱性けいれんの時には、抗けいれん薬の『ダイアップ(一般名:ジアゼパム)』坐剤と、解熱薬の『アルピニー(一般名:アセトアミノフェン)』坐剤が処方されることがあります。

 この2つの坐薬は、同時に使うと『ダイアップ』の吸収が遅れてしまう恐れがあります。
ダイアップとアルピニーの順序
 そのため、先に『ダイアップ』坐剤を使用し、その後30~60分の間隔を空けてから解熱薬の『アルピニー』を使う必要があります。

回答の根拠:基剤の違いによる影響

 『ダイアップ』と『アルピニー』を同時に使うと、『ダイアップ』の吸収が遅くなることがあります。これは、それぞれの坐薬の性質の違いが原因で起こります。

 『ダイアップ』の有効成分「ジアゼパム」は、脂に極めて溶けやすい脂溶性の薬です。
 『アルピニー』は、「ハードフィット(ウイテプゾール)」と呼ばれる油脂をベース(基剤)に作られています。

 そのため、この2つの薬を同時に使うと、『ダイアップ』の有効成分「ジアゼパム」は体には吸収されずに、『アルピニー』の基剤に溶け込んでしまいます。
ダイアップとアルピニー~水溶性、脂溶性の薬と基剤
 

効果が得られるまで2時間近くかかる

 通常、『ダイアップ』を使用すると、15~20分以内に効果が得られます。ところが、『アルピニー』と併用した場合には、効果が得られるまでに2時間近くかかるようになる、とする報告があります1)。

 1) 日本小児科学学会雑誌.100(8):1347,(1996)

 これは、先述のようなメカニズムで、『ダイアップ』の有効成分が”一度、『アルピニー』の基剤に溶け込む”という余計なステップを挟んでから吸収されるのが原因と考えられています。

『アルピニー』に限らず、解熱薬は多くが油脂性の基剤

 『アルピニー』坐剤に限らず、小児用の解熱薬坐剤はほとんどが油脂性の「ハードフィット」が基剤になっています。こうした薬は全て、『ダイアップ』との併用時には注意が必要です。

※油脂性の基剤を使っている小児用の解熱薬坐剤の例
『アルピニー(一般名:アセトアミノフェン)』
『アンヒバ(一般名:アセトアミノフェン)』
『カロナール(一般名:アセトアミノフェン)』
『ユニプロン(一般名:イブプロフェン)』

薬剤師としてのアドバイス:熱性けいれんの多くは、治療の必要もなく、後遺症も残らない

 熱性けいれんと、いわゆる病気の「てんかん」は全く別のものです。熱性けいれんから、「てんかん」に進行していくものではありません。

 症状が衝撃的なために、家族が強い不安を抱くことも多いですが、熱性けいれん自体は基本的に治療の必要もなく、後遺症も残りません。通常は小学校にあがる頃にはほとんど起こらなくなります。

 ただし、5~10分で回復しない場合などは、単なる熱性けいれんではない可能性もあります。必ず病院で診察を受けるようにしてください。
 特に、熱性けいれんのガイドラインは2015年に約18年ぶりに改訂されています。昔とは対応も変わっている場合があるため、一度主治医と相談しておくことをお勧めします。

+αの情報:解熱薬では、熱性けいれんは予防できない

 『アルピニー』などの解熱薬で熱を下げたからといって、熱性けいれんを予防できるわけではありません2,3)。

 2) Cochrane Database Syst Rev.CD003676,(2002) PMID:12076499
 3) Eur J Paediatr Neurol.17(6):585-8,(2013) PMID:23702315

 『アルピニー』などの解熱薬は、高熱による辛さを解消するための「対症療法」です。
 そのため、38℃以下の発熱であれば、必ずしも解熱薬を使う必要はありません。また、解熱薬で平熱の36℃近くまで下げる必要もありません

 ただし、高熱は体力を消耗し、「脱水症」を起こすリスクにもなるため、必要に応じて解熱薬を使うようにしてください。その際、主治医や薬剤師に予め使う・使わないの判断の目安を聞いておくことをお勧めします。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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