薬を飲んでいる時は、献血できない?~”責任ある献血”のために
回答:問題ない薬もある
一般的なビタミン剤や胃薬など、献血をしても問題ない薬があります。 しかし、使っている薬の種類によっては、献血できないケースがあります。このとき、飲み薬だけでなく、点眼薬や点鼻薬、吸入薬、坐薬、外用剤といった薬であっても献血できないことがあるため、注意が必要です。
献血できるかどうかは、医師が判断します。自身が飲んでいる薬は、正しく医師に伝えるようにしましょう。
回答の根拠:日本赤十字社の基準
薬を使うと、その有効成分は基本的に血液中に溶け込み、全身を巡りながら薬理作用を発揮します。いずれ、肝臓や腎臓で解毒・分解されて排泄されますが、それまでの間は血液中に薬が存在しています。定期的に薬を服用している場合、体内には一定量の薬が存在し続けている状態と言えます。
そのため、その血液を献血すると、受け取った側で薬の薬理作用が発揮される恐れがあります。
こうした理由から、内服薬に限らず、点眼薬や点鼻薬、吸入薬、坐薬であっても、血液への影響がゼロでない薬を使っている場合には、献血をすることができません1)。
また、ワクチンの予防接種や血清療法などを受けた場合にも同様に、献血をすることができません1)。
接種後24時間以内の献血が不可な例
インフルエンザ日本脳炎
コレラ
A型肝炎
肺炎球菌
百日ぜき
破傷風
接種後4週間の献血が不可な例
B型肝炎おたふくかぜ
風疹
BCG
接種後2ヶ月間の献血が不可な例
天然痘接種後3ヶ月間の献血が不可な例
破傷風蛇毒
ガス壊疽
ボツリヌス
接種後6ヶ月間の献血が不可な例
抗HBs人免疫グロブリン接種後1年間の献血が不可な例
狂犬病ワクチン1) 日本赤十字社 「初めて献血される方へ」
献血できないケースは多岐に渡るため、自身が使った薬や受けた治療については、必ず正確に記録し、正しく医師に伝えるようにしてください。
薬剤師としてのアドバイス:”責任ある献血”を
確かに、献血は善意で行うものです。しかし、だからといって無責任に献血すると、病原体をばら撒いてしまう恐れがあります。そのため、安全を確保するためにも、日本赤十字社は”責任ある献血”を呼びかけています。
”責任ある献血”とは、以下の2点を守って献血をすることです2)。
①エイズなどの検査を目的に献血を絶対にしないこと
②問診に正しく答えて献血すること
2) 日本赤十字社 「血液事業の重要なお知らせ」
こうした問診に正しく答えるためには、日ごろ自分が使っている薬や、受けたことのある治療、かかったことのある病気に対してきちんと理解・把握しておく必要があります。
最近は週刊誌等で、”お薬手帳は要らない”という論調も盛んに行われています。
確かに、IT化が進む現代において未だに紙の手帳を使うことの問題点、更にお薬手帳の情報を十分に活用できていない未熟な薬剤師の問題点など、様々な問題はありますが、こうした理解と把握のためにも、お薬手帳は所持すべきです。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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