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知っておくべきこと 薬の特別な使い方

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「保険適用外」の薬の使い方は、ダメなことか?

回答:いずれ適応になるものか、根拠のないものか、による

 「保険適用外」の薬の使い方には、大きく分けて2種類あります。
保険適用外の分類

 一つは、”まだ保険適用ではないもの”、つまり”いずれ保険適用になるもの”です。

 既にある程度の実績やエビデンスが蓄積されてきているものの、保険適用が認められるには至っていない、ということです。
 この場合、いずれ保険適用になる見込みがあるほど実績やエビデンスがあることから、「保険適用外」で使用することも間違ってはいません。特に、海外で既に使われている使い方などは、積極的に導入されることもあります。

 もう一つは、”根拠のないもの”です。

 根拠のない医療行為は行われるべきではありません。当然、日本ではこうした「保険適用外」の使い方をしてはいけません。 

「保険適用外」は、厳密には全額自己負担になる

 日本では、国民皆保険制度に基づき、医療でかかる費用の70~100%を国や基金が負担します。

 その際、薬は厚生労働省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)によって認められた「効果・効能」を目的に、決められた「用法・用量」で使う必要があります。

 このように、国によって有効性と安全性のお墨付きを得た「効果・効能」と「用法・用量」の範囲内で薬を使用する限り、保険が費用を負担してくれることになります。

 「保険適用外」とは、文字通りこの保険の適用から外れる薬の使い方のことを指します。

 具体的には、添付文書上の「効果・効能」として認められていない疾患に対して薬を使うことや、指定された「用法・用量」とは異なる使い方をすることです。

 こうした「保険適用外」の使い方をした場合は「自由診療」となり、それにかかる費用は保険が負担してくれなくなります。つまり、”全額自己負担”になります

経済的な理由から、「保険適用外」になることもある

 例えば、疲労回復にはビタミン摂取が有効であることは明確な事実です。しかし、ビタミン剤を疲労回復のために使うのは、「保険適用外」です。
 これは、疲労回復に対してかかる費用をいちいち保険で負担していたら、医療保険が破綻するからです。

 また、お肌の美白にもビタミンは有効です。しかし、ビタミン剤を美白のために使うのも「保険適用外」です。
 これは、美白は不要不急、言わば”しなくても良いこと”であるため、自分のお金でやってください、というのが保険のスタンスです。

 このように、実際には効果はあるものの、経済的な理由から保険適用が認められないケースがあります。

海外と日本で異なる保険適用~患者の不利益につながるかどうか

 睡眠薬としてよく使われる『マイスリー(一般名:ゾルピデム)』の効果・効能は、”不眠症(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症は除く)”です。

 つまり、統合失調症や躁うつ病に伴う不眠症に使った場合には、保険適用外になります。

 しかし、海外で使われる同じゾルピデム製剤には、こうした制約はありません。

 このように海外と日本とで保険適用が異なる場合、議論も分かれることになりますが、海外では十分に有効性と安全性が認められているから、と医師の判断で使用することもあります。

 こうした「保険適用外」の使い方は、つまるところ患者の不利益につながらなければ、悪いことではありません。むしろ、保険適用の原則に縛られている方が、患者にとって不利益になることもあります。

日本で薬を使う以上、保険適用にも従うのが基本

 いくら海外での使用実績があるとは言え、使うのは日本の保険です。日本の保険で薬を使う以上、保険適用には基本的に従うべきです。

 この大原則を踏まえた上で、患者にとって最もメリットが大きい治療方法を選ぶことが、医師・薬剤師の仕事と言えます。

薬剤師が「保険適用外」にうるさい理由~薬局の収入がなくなることも

 先述の通り、日本の医療は70~100%を保険が負担します。つまり、薬局の窓口で患者から得られるお金は、本来得られる収入の0~30%に過ぎません。
 残りの70~100%は保険の支払基金から給付してもらう必要があります。

 「保険適用外」の使い方ばかりしていて支払基金からの給付を拒否された場合、薬局は0~30%のお金しか得ることができません。これでは大赤字で薬代にもなりません。

 そのため、薬局では保険適用外の使い方に対しては非常にシビアに確認し、不要・不急な「保険適用外」の使い方については医師にも修正するようお願いをしています。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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