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便秘薬 副作用

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「酸化マグネシウム」には、「高マグネシウム血症」を起こして死亡するリスクがある?~新しい副作用が報道された時の正しい対応


 『マグミット』等に代表される「酸化マグネシウム」製剤で、因果関係の否定できない死亡例が起きたとして、10月20日、厚生労働省は添付文書による注意喚起を指示しました。

 問題となっているのは、血液中のマグネシウム濃度が異常に高くなる「高マグネシウム血症」です。

必要なのは、薬を自己判断で中止することではなく、「高マグネシウム血症」について理解すること

 基本的に、高齢であったり腎機能に問題がない場合、「高マグネシウム血症」を起こす心配はほとんどありません。そのため、現在処方されている薬を自己判断で中断する、ということは絶対にしないでください

 通常、「高マグネシウム血症」は早期発見できれば、治療薬(例:グルコン酸カルシウム)の使用で問題なく回復します。そのため、初期症状について頭に入れておき、何かその兆候をつかんだときにはすぐに受診できるようにする、という行動が正しい対応と言えます。

 これは今回に限らず、薬の副作用について何か報道されたときに、必ず思い出して欲しいことです。
 副作用が報道されたときの、正しい対応

※「高マグネシウム血症の初期症状」 1,2)
 吐き気・嘔吐、立ち眩み・めまい(低血圧)、脈が遅くなる、息苦しくなる、皮膚が赤くなる、力が入りにくくなる、身体がだるい

 1) 酸化マグネシウム製剤 適正使用のお願い (2015)
 2) メルクマニュアル 「マグネシウム濃度の異常」

 こうした症状は、単なる体調不良の場合もあれば、他の薬による別の副作用で起こる場合もあります。「高マグネシウム血症」に限らず、副作用に気付くために最も重要なのは、”普段とは何か様子が違う”ような体調不良に気付くことです。
 そのために、ほんの些細な異常や違和感であっても、医師や薬剤師には伝えるようにしてください。

高齢者や腎機能が低下している人は、特に注意

 「酸化マグネシウム」は、胃の酸を抑える「制酸薬」として、あるいは便を柔らかくする「便秘薬」として、広く使用されています。本来、こうした効果を発揮するためには、血液中に吸収される必要がない薬と言えます。

 しかし、ごく微量のマグネシウムは血液中に吸収されていきます。

 通常、健康な人であれば、こうして増えたマグネシウムは腎臓から排泄され、健康に影響することはありません。
 ところが、腎臓の機能が低下している高齢者などでは排泄が遅れるため、血液中にマグネシウムが蓄積(高マグネシウム血症)しやすくなります。

薬に頼りぎない

 「酸化マグネシウム」製剤のほとんどは、便秘薬として使用されています。

 便秘薬は、食事や運動による改善を試みても、どうしてもお通じがない場合に、緊急手段として使用するものです。決して、何年も続けて使い続けるような薬ではありません。

 現在、長期で「酸化マグネシウム」製剤を使っている人の中には、薬に頼りきりになり、本来すべき運動などを行っていないケースも多く見受けられます。

 治療のため長く続けて飲むべき薬と、症状を緩和するために必要最低限で使用すべき薬を、きちんと区別して考える必要があります。

どんな薬にも副作用はあるので、油断せず、過剰に恐れもせず、正しく使う

 基本的なことですが、薬である以上、副作用は必ず存在します。

 ”いつも飲んでいるから大丈夫”という油断が危険であることは、言うまでもありません。
 しかし、だからといって副作用を過剰に恐れていては、医薬品の恩恵に預かることもできません。

 薬は正しく使うことで、副作用のリスクを大幅に減らすことができます。また、万が一副作用が起きた際にも、救済制度を受けることができます。

 安い薬、やさしい薬だからと他人に薬を譲ったり、あるいはもらって使ったり、自己判断で勝手な使い方で薬を使うことは、絶対にやめてください。

Web上でも情報を拡散する人たちへのお願い

 既に、子宮頸がん(HPV)ワクチンは根拠不十分なまま感情論ばかりが展開され、接種勧奨が中断されてしまっています。誤った情報によりインフルエンザの予防接種を忌避する人も居ます。

 これらは、多くが誤った情報や根拠不十分な憶測が一人歩きしてしまった結果、起こってしまった事態と言えます。
 このように、医療に関して不確かな情報を拡散することは極めて有害な行為です。根拠のない情報や憶測を無責任に拡散しないようにしてください。
 

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます(2022年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
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医学論文の活かし方(2020年)
服薬指導がちょっとだけ上手になる本(2024年)

 

【執筆】
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薬ゼミ、診断と治療社
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大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学)
学会(日本医療薬学会/日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/日本腎臓病薬物療法学会/日本医薬品情報学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

【監修・出演等】
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