『プロペト』と『白色ワセリン』、同じ保湿剤の違いは?~ワセリン精製度による使い分け
回答:『プロペト』は眼科用としても使える精製度のもの
『プロペト』と「白色ワセリン」は、同じものです。 ただし、『プロペト』は眼科用としても使えるよう、「白色ワセリン」の不純物や刺激物をより高い精度で取り除いて作られたものです。
効果に大きな違いはありませんが、『プロペト』は色が透明に近く、使い心地も良いため、皮膚の保湿剤としても使われることがあります。
回答の根拠:眼科用基剤として適切な物性
『プロペト』は、日本薬局方「白色ワセリン」の規格に適合すると共に、「眼科用基剤」の規格にも適合した薬です1)。1) プロペト 添付文書
通常、眼科用として使用する軟膏には、皮膚科用として使用するものよりも厳しい基準が設けられています。
※眼科用基剤の規格
①眼科用として適切な粘度・稠度
②不純物が少なく、刺激性要素を含まない
③加熱滅菌に耐え、変色しない
このことから、眼科用としても適合する『プロペト』は、より厳しい基準を通過した「白色ワセリン」であると言えます。
ただし、『プロペト』も一度別の容器に入れてしまうと、その時点で雑菌や不純物が入ってしまいます。皮膚科用として処方された『プロペト』は眼に使用しないようにしてください。
薬剤師としてのアドバイス:塗り直しができる保湿剤として
ステロイド外用剤は、1日に何度も塗り直しをすることはできません。また、尿素を含むハンドクリームなどでも回数制限が設けられている場合があります。副作用の観点から、いくら症状が酷いからといって、こうした回数制限を超えて使うことはお勧めできません。
その点、『プロペト』や「白色ワセリン」には回数制限がなく、何度塗り直しをしても問題ありません。
このことから、水仕事で薬がとれてしまう、服にこすれて薬がとれてしまう、といったような場合には、塗り直しができる保湿剤としても処方されることがあります。
ただし、『プロペト』や「白色ワセリン」は保湿能力も優しめなため、乾燥がひどい場合には『ヒルドイド(一般名:ヘパリン類似物質)』や『パスタロン(一般名:尿素)』などより強力な保湿剤を使う必要があります。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
白色ワセリン“ソフト”「ケンエー」などは眼科用基剤要件を満たしています。
もちろんプロペトではありません。