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知っておくべきこと 専門用語解説

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「バイオシミラー」と「ジェネリック」は何が違うの?~バイオ医薬品の後発品

回答:バイオシミラーは、全く同一ではなくSimilarな(似ている)薬

 「バイオシミラー」とは、バイオテクノロジーを応用した医薬品(バイオ医薬品)の後発品にあたる薬です。

 バイオ医薬品の有効成分は、分子構造が極めて複雑なため、同一性を証明することが困難です。そのため、有効成分は全く同じというわけではなく、同等・同質な作用を示す「よく似た有効成分」が用いられます。
 そのため、先発医薬品に準ずる試験が課せられています。
ジェネリックとバイオシミラー

 「ジェネリック」医薬品では、有効成分は全く同一のものです。
 有効成分だけでなく、添加物や製造方法まで完全に同一なものは、別に「オーソライズド・ジェネリック」と呼ばれます。

回答の根拠①:バイオ医薬品の構造の複雑さ

 例えば、『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』の構造は、以下のようなものです。
ロキソプロフェンの構造
 分子式はC15H17NaO3、分子量は304.31と比較的小さな化合物で、化学合成によって作ることができます。そのため、全く同じ物質を合成することは難しくありません。

 一方、『ランタス(一般名:インスリングラルギン)』などのバイオ医薬品の構造は、分子式C267H404N72O78S6、分子量6062.89、これは53個のアミノ酸から成る非常に大きなタンパク質です。
 これは化学合成で作ることは難しく、細胞培養技術を用いた製法によって作る必要があります。そのため、全く同じ物質を作ることや、同一性を証明することが非常に困難です。

 こういった事情から、バイオ医薬品の場合には全く同一の「ジェネリック」ではなく、同等・同質の安全性、有効性、作用を示す「バイオシミラー」を作ることになります。

回答の根拠②:課せられる試験の違い

 「バイオシミラー」では、有効成分が全く同一ではありません。そのため、先発品に準ずる試験が課せられています。

※バイオシミラーの開発要件 1)
・品質特性(有効成分、不純物等)の同等性、同質性の比較
・非臨床試験で薬理作用の比較及び安全性
・臨床試験で同等性、同質性の比較(薬物動態試験、薬力学試験など)
・製造販売後調査

 1) 血液内科 67(2):241-264,(2013)

 このように「バイオシミラー」では、先発品とほとんど変わらないような試験をクリアしなければならないため、「ジェネリック医薬品」ほど安価にもできません。

 一方「ジェネリック医薬品」では、「生物学的同等性試験」によって有効成分の同一性が証明されれば、上記のような試験はしなくても良いことになっています。

薬剤師としてのアドバイス:手放しでお勧めできないのは、ジェネリックと同じ

 「バイオシミラー」は、先発医薬品に準ずる試験を行っているため、有効性や安全性については特に大きな問題はないと言えます。
 しかし、有効成分が同一である「ジェネリック医薬品」でも、添加物や製剤技術の違いによって完全に同じ薬であるとは言えない等の問題があるのは事実です。

 よく理解せず、「安い方が良い」と安易に選択することは、非常に問題があります。きちんとメリット、デメリットを理解した上で、自分にとって有益な選択をできるようにしてください。

 その際、わからないことがあれば薬局の薬剤師にいつでも相談してください。

+αの情報:現在のバイオシミラー

 「バイオシミラー」は、先述のように課せられた試験も多く、「ジェネリック医薬品」ほど簡単に作ることができません。
 そのためまだ種類も少なく」現在承認されたものは以下の5種のバイオ医薬品の「バイオシミラー」に限られています。

※「バイオシミラー」が承認された、バイオ医薬品(先発医薬品)
『エスポー(一般名:エポエチン)』
『ランタス(一般名:インスリングラルギン)』
『レミケード(一般名:インフリキシマブ)』
『サイゼン(一般名:ソマトロピン)』
『グラン(一般名:フィルグラスチム)』

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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