湿布の「冷感」と「温感」はどう使い分けるの?
回答:有効成分は同じ
湿布には『MS冷シップ』や『MS温シップ』のように「冷感」タイプと「温感」タイプがありますが、どちらも有効成分は同じ「サリチル酸メチル」です。また、効能・効果も、使い方も全く同じです。 そのため、基本的には”貼ったら気持ちが良い方”を選ぶことで問題ありません。
一般的には、患部が熱を持っているような急性症状に「冷感」、血行が悪いような慢性症状に「温感」をお勧めしています。
詳しい回答:冷たさ、温かさを感じる原理
「冷感」のシップには「l-メントール」が含まれています。「l-メントール」の清涼感に加え、湿布に含まれている成分が蒸発するときの気化熱によって患部の温度を低下させます1)。実際に貼り付けた部位の温度を下げるため、急性の症状で患部が熱を持っている際に適しています。
1) MS冷シップ「タイホウ」 インタビューフォーム
一方、「温感」のシップには「トウガラシエキス」が含まれています。「トウガラシエキス」に含まれる「カプサイシン」は、末梢の血液循環機能を改善する効果があります2)。
血流が低下しているような慢性疾患では、患部を冷やすことが好ましくなく、逆に温めて末梢の血液循環を促進する必要があります。
2) MS温シップ「タイホウ」 インタビューフォーム
「トウガラシエキス」が含まれる「温感」のシップを使っている場合、入浴時に刺激を感じることがあります。そのため、入浴の30分以上前に剥がしておく必要があります。また、入浴後も少し身体の熱が冷めてから使用するようにしましょう。
回答の根拠:サリチル酸メチルとは
有効成分である「サリチル酸メチル」は、市販の”バファリン”として使われる「アセチルサリチル酸」の仲間です。”バファリン”と同じように、炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。医療用としてよく用いられる『モーラス(一般名:ケトプロフェン)』や『インテバン(一般名:インドメタシン)』などと比べると、「サリチル酸メチル」の鎮痛効果は優しいものです。また、光線過敏症などの副作用も無いため、市販のシップ薬にも広く使われています。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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