「ニトロ」の効果がない狭心症がある?~微小血管狭心症
回答:「微小血管狭心症」というものがある
小さな血管が狭くなって起こる”微小血管狭心症”には、「ニトロ」の薬が効きにくいという特徴があります。通常、狭心症や心筋梗塞は、心臓に血液を供給している太い血管、”冠動脈”が狭くなり、心筋が酸素不足に陥ることで起こります。(※狭心症と心筋梗塞の違い)
『ニトロペン(一般名:ニトログリセリン)』のような硝酸薬は、この”冠動脈”を広げる効果があるため、狭心症や心筋梗塞の症状を一時的に和らげることができます。
ところが、”微小血管狭心症”では、冠動脈に異常はありません。心筋の中を走る小さくて細い血管が、あちこちで収縮したり、閉塞したりすることで起こります。
「ニトロ」の薬では、小さく細い血管を広げることはできません。
詳しい回答:閉経後の女性の、原因不明の胸痛
特に女性では、女性ホルモン「エストロゲン」が強力に血管を保護しているため、閉経後に心筋内部の微小血管にトラブルが起きて、微小血管狭心症を起こす可能性が示唆されています。こうした狭心症の場合、胸の痛みを感じていても、カテーテル検査では冠動脈が細くなったり詰まったりしていないため、原因がよくわからないままになる可能性があります。
また、痛み方が狭心症に似ているにも関わらず、狭心症の切り札である「ニトロ」が効きにくい、ということも、より診断を難しくしていました。
+αの情報:微小血管狭心症の検査・診断と治療は
微小血管狭心症は、患者の訴えや診察所見、心臓エコー検査、心電図(24時間ホルター心電図、運動負荷心電図)、血液検査などで総合的に判断します。CTやMRIで大きな冠動脈に異常が見られない場合、カテーテル検査は行わないこともあります。
治療方法は「ニトロ」が効果的でないことを除き、通常の狭心症と同じで、薬も「カルシウム拮抗薬」などを使用します。
薬剤師としてのアドバイス
閉経後の女性では、いわゆる更年期障害が出やすく、その際には逆流性食道炎など別の疾患によって胸の痛みを感じることもあります。 どういった時に、どういった痛み方をするのか、医師に正しく伝えて診断してもらいましょう。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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