記事の内容
回答:光線過敏症という副作用を起こす恐れがあるから
『モーラステープ(一般名:ケトプロフェン)』を貼っている場所に紫外線を当てると、皮膚炎(光線過敏症)を起こすことがあります。
この皮膚炎は、薬を剥がした後でも起こすことがあります
そのため、薬を貼っている間だけでなく、剥がした後も最低4週間は紫外線に当てないよう注意する必要があります。
この皮膚炎は、重症化すると症状が全身に広がってしまう恐れもあります。貼っていた場所に痒みや赤みといった異常がある場合には使用を中止し、患部を遮光した上で、病院を受診するようにしてください。
回答の根拠①:テープを剥がした後にも起こる
『モーラステープ』による「光線過敏症」は、薬を貼っている間だけでなく、剥がした後に起こる場合があります1)。
中には、剥がしてから数ヶ月が経ってから「光線過敏症」を起こした事例も報告されているため、剥がしてから最低でも4週間は紫外線を当てないように注意する必要があります2)。
1) モーラステープ インタビューフォーム
2) 医薬品・医療機器等安全性情報 No.276 (2011)
他の痛み止めでも起こる可能性がある
『モーラステープ』に限らず、他の痛み止め外用剤でも同程度の頻度で発症することが報告されています2)。
※紫外線による光線過敏症を発症する恐れのある外用剤
ケトプロフェン (『モーラステープ』、『セクターローション』など)
フルルビプロフェン (『アドフィードパップ』、『ゼポラステープ』など)
インドメタシン (『インサイドパップ』、『インテバン軟膏』など)
フェルビナク (『スミルスチック』、『ナパルゲンローション』など)
これらの有効成分が使われている市販薬・OTCを使う場合にも、同様に注意が必要です。
回答の根拠②:薬を貼った場所以外への影響
「光線過敏症」は薬を貼っていた部分に直接、光(紫外線)が当たることがきっかけで起こります。
そのため例えば、腰に薬を貼っている時に腕に紫外線を浴びたら腰がかぶれる、というわけではありません。
このことから、通常は「薬を貼っていた部分を紫外線に当てない」という方法で、この副作用を避けることができます。
つまり、光を使った脱毛処置をする場合も、薬を貼っていない・貼ったことのない部分であれば問題はないと言えます(機械によっては、使用する光に紫外線の波長が含まれていない場合もあります)。
ただし、痛み止めの貼り薬や塗り薬を使っていた場合には、処置の前に必ず申し出るようにしてください。
薬剤師としてのアドバイス:たかが「貼り薬」と思わない
この副作用は、家族や友人から薬を譲り渡されて使った際に起きたものが全体の11%、指示された場所以外に使って起きたものが全体の8%を占めています3)。
3) 久光製薬 モーラステープの光接触皮膚炎について Cledentials No.81 (2015)
痛み止めの貼り薬は「簡単な薬」と思い、安易に他人と受け渡ししてしまう傾向があります。
しかし、他人の薬を使った場合や、正しく薬を使わなった場合などは、重い副作用が出ても補償を受けることができません。
万が一の時に困らないよう、薬の譲渡や自己判断による勝手な使用は控えることをお勧めします。
+αの情報:光線過敏症を起こさない貼り薬
「サリチル酸メチル」が有効成分である『MS冷シップ』や『MS温シップ』では、こうした光線過敏症の副作用は報告されていません4,5)。
4) MS冷シップ「タイホウ」 添付文書
5) MS温シップ「タイホウ」 添付文書
また、『ロコアテープ(一般名:エスフルルビプロフェン)』も光パッチテストでは皮膚障害が確認されなかった、光線過敏症リスクの少ない鎮痛外用剤です6)。
6) ロコアテープ インタビューフォーム
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
この記事へのコメントはありません。