痛みが酷いとき、『ロキソニン』を1回2錠飲んでも良い?
記事の内容
回答:1回2錠飲む方法もあるが、先に考えるべきことがある
確かに『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』には、1回に2錠飲む方法もあります。
ただし、これは関節リウマチや変形性関節症などの場合に限り、医師の指示のもとで行われる特別な使い方です。頭痛などに自己判断で行う使い方ではありません。
『ロキソニン』の量を増やす前に考えるべきこと
『ロキソニン』を1錠飲んでも効かない場合、原因は主に以下の3つのケースが考えられます。
①痛みを抑えるためには、ロキソニンの量が足りない (投与量の問題)
②ロキソニンがまだ効き始めていない (時間の問題)
③そもそも、ロキソニンで治まる痛みではない (薬の選択の問題)
このうち、『ロキソニン』を2錠に増やして痛みが治まるのは、①のケースのみです。
1回に2錠飲んだからといって、薬が早く効き始めるとか、長く効果が続くとか、効きにくい痛みにも効果が出るとか、そういったことはありません。
薬の量を自己判断で増やす前にまず主治医に相談し、なぜ痛みが治まらないのか、その原因をはっきりさせることが必要です。
回答の根拠:『ロキソニン』の頓服の用法
『ロキソニン』は、関節リウマチ・変形性関節症・腰痛症・肩関節周囲炎・頸肩腕症候群・歯の痛みに対しては、頓服で1回に2錠(120mg)を飲む方法があります1)。
1) ロキソニン錠 添付文書
ただし、これらは医師の指示によって使うものであり、頭痛などに対して自己判断で勝手に増やして良いものではありません。
『ロキソニン』は胃を荒らしやすいため、あまりたくさん飲むと胃が荒れて腹痛を起こすなどの副作用を起こす恐れがあります。
特に、2016年3月に『ロキソニン』に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」の副作用が追加され大きな話題になったことは記憶に新しいと思います。勝手な使い方はこうした副作用のリスクを高めることになるため、絶対に止めるようにしてください。
『ロキソニン』の1日上限量
『ロキソニン』は、1日4錠(240mg)が安全に使える1日の上限量です2)。
2) ロキソニン錠 インタビューフォーム
一般的に、『ロキソニン』は1日3回で処方されることが多いですが、1回2錠で1日3回使うと、この上限量を大きく超えてしまいます(※60mg×2錠×3回=360mg)。
こうした薬の過剰摂取は、胃腸障害などの副作用を起こすほか、鎮痛薬の使い過ぎによる「薬物乱用性頭痛」を惹き起こすリスクにもなります。
薬剤師としてのアドバイス:『ロキソニン』は万能の痛み止めではない
『ロキソニン』は、様々な痛みに効果を発揮するため、さも万能の痛み止めのように思われがちです。しかし、痛みの種類によっては効果が得られにくいものもあります。
頭痛であっても、片頭痛であれば「トリプタン製剤」を使う必要があります。
腹痛であっても、胃潰瘍の痛みであればPPIやH2ブロッカーを使う必要があります。
ビリビリとした神経の痛みであれば、『リリカ(一般名:プレガバリン)』や『ノイロトロピン(一般名:ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液)』といった神経痛専用の痛み止めを使う必要があります。
『ロキソニン』を使っても痛みが続く場合には、安易に薬の量を増やすのではなく、病院で医師に症状を正しく伝え、痛みの原因を特定することをお勧めします。
+αの情報①:より強力な『ボルタレン』と、長く効く『セレコックス』、特別な『カロナール』
『ロキソニン』と同じNSAIDs・解熱鎮痛薬でも、薬によって強さや効果の続く時間、使って良い状況などの特徴は異なります。
『ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)』は、『ロキソニン』よりも強力な鎮痛効果を持っています。
『セレコックス(一般名:セレコキシブ)』は、『ロキソニン』よりも効果が長続きします。
『カロナール(一般名:アセトアミノフェン)』は、『ロキソニン』や『ボルタレン』が使えない子どもや妊婦、インフルエンザの時にも使える薬です。
飲むとすぐに効く『ロキソニン』は使い勝手も良いため広く使われていますが、このように状況に応じて使い分けが必要なケースもあります。薬を飲んでも痛みが治まらない場合には、その旨を一度主治医に伝え、どんな薬が適切かを相談するようにしてください。
+αの情報②:市販の「ロキソニンS」は1回2錠飲んではいけない
市販の『ロキソニンS』は、病院でもらう『ロキソニン』と全く同じ成分、同じ量の薬です。
しかし、市販の『ロキソニンS』は1回に2錠使うことはできません。また、基本的には使用量の限度も1日2錠(120mg)までです3)。
3) ロキソニンS 添付文書
市販薬は医師や薬剤師の厳密な管理下にないため、1日3錠(180mg)使うことや、1回に2錠使うといった、ややリスクのある飲み方は制限されています。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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