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子どもの薬 薬物動態学

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子どもの飲み薬、どうして用法が食前になっているの?

回答:食後だとお腹いっぱいだから

 乳幼児の場合、お腹がいっぱいになっているとシロップ等の薬を飲んでくれないことがあります。

 そのため、薬を飲んでくれやすい「食前」で処方されることが場合があります。

回答の根拠:「食後」と指定されていない薬もある

 例えば多くの抗生物質や咳止め、痰をとる薬、アレルギーの薬などは、絶対に食後でなければならない薬ではありません。”食後”にこだわるあまり、お腹がいっぱいで薬を飲んでくれない、という事態の方が大問題です。

 食後でも食前でも、特に治療効果に影響しないことがわかっている薬には、用法でも「食前」や「食後」と指定されておらず、「1日〇回」と回数だけが指示されているものもあります。

 

※食事の影響が少ない、乳幼児の飲み薬の例

◆セフゾン細粒(一般名:セフジニル)
 →添付文書上の用法は「1日3回」で、食前でも食後でも良い。3mg/kgを服用した場合、食前では2.5時間後に最大0.92μg/mL、食後では3.6時間後に最大0.63μg/mLと、食後ではやや吸収が低下するが1)、この小さな差を気にするよりも薬をきちんと飲むことの方が遥かに重要。

 1) セフゾン細粒小児用 添付文書

 小児によく用いられる『ムコソルバン(一般名:アンブロキソール)』、『ムコダイン(一般名:カルボシステイン)』、『アスベリン(一般名:チピペジン)』などについても同様に、用法は「1日3回毎食後」ではなく「1日3回」で、食後である必要はありません。
 また、食前と食後で比較したデータはインタビューフォームにも記載がありません。特に食前と食後にこだわる必要がない、と考えて良いでしょう。

 こうした薬が大人に処方された場合に、たいてい「食後」になるのは、単に”食後が最も飲み忘れが少ない”からです。

薬剤師としてのアドバイス:絶対に用法を守らなければならない薬もある

 薬には、絶対に用法を守らなければならない薬と、多少の融通を効かせられる薬とがあります。

 例えば、「毎食後」で処方された『ムコダイン』を、夕食後に飲み忘れたから寝る前に飲むとか、レストランに出かけるので食前に飲んでおく、といったような対応には全く問題がないと言えます。

 漢方薬のように「食前」で飲んだ方が高い効果が期待できるが、飲み忘れた場合は「食後」でも良いので飲んでおいた方が良い薬もあります。

 しかし、食事で血糖値が上がりすぎることを防ぐ「糖尿病の薬」や、週に1回あるいは月に1回飲む「骨粗鬆症の薬」を食後に飲んでも、ほとんど意味がありません。

 また、胃が空っぽのときに飲むと胃が荒れてしまうような鎮痛薬もあります。

 このように薬によって注意すべき点が異なり、対応も様々に変わりますので、自己判断で薬の飲み方を変えることは危険です。新しい薬をもらった際には「飲み忘れたときはどうすれば良いか?」を薬剤師から聞いておくことをお勧めします。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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