テーラーメイド医療、personalized medicineとは
テーラーメイド医療(またはオーダーメイド医療、personalized medicine)とは、個々の患者の体質や薬の効き方に合わせた薬の種類・量を選択する医療の方法です。同じ症状をもつ患者に対して、同じ用量・用法で薬を投与しても、人によって薬の効果・副作用が大きく異なるケースがあるために発達してきた考え方です。
酒豪か?下戸か?
例えば、薬を分解する酵素が『たくさんある人』と『少ない人』が居るとします。当然、分解酵素をたくさん持っている人の方が、薬は早く分解されてしまうので、効果が持続する時間は短くなります。こういった酵素の量は、遺伝によって決まる部分が多くあります。お酒に強い、弱いと考え方は全く同じです。お酒に強い人は強いお酒をたくさん飲んで酔いますし、お酒に弱い人は弱いお酒を少量飲んで酔います。薬も同様、ある意味”薬に強い人”には強い薬を多めに投与し、”薬に弱い人”には弱い薬を少なめに投与する・・・といった考え方のことです。
今後の課題
現状、薬の用法・用量は、『統計学的』に決められたものです。つまり、”薬に強い人”や”薬に弱い人”が色々に混ざった集団の、平均値をとったものです。そのため当然、よく効く人や、あまり効かない人が出てきます。薬にも、多少は用量・用量に幅がありますが、それでしっかりと効果の幅をカバーできているかと問われると、大きな疑問が残ります。まだ、現状では遺伝子情報から患者の体質を解析して、といった方法は現実味を帯びていません。どちらかと言うと、酵素の量や強さといった患者の個人差によって薬の効果に幅が出ないように考えられた、『個人差が少ないタイプの薬』が新薬として登場している状況です。(例:オメプラゾールは代謝酵素の差により個人差が大きい → 改良されたネキシウムが登場)
将来的には、患者それぞれの遺伝情報から、薬の種類や用量・用法を個別に設定していく、といった医療、すなわちテーラーメイド医療が実現させていくことが求められると考えています。
この記事へのコメントはありません。